BNPLとは?後払い決済との違いや人気の理由を解説
BNPLとは、「Buy Now Pay Later」の略称で、直訳すると「今買って、後で払う」というサービスです。
いわゆる「後払い」や「クレジットカード」に近いシステムですが、これらの支払い方法とは異なる点もあります。
この記事では、昨今注目を浴びているBNPLについて、徹底的に解説していきます。
話題の決済方法「BNPL」とは?
BNPLとは、商品の代金を後から支払う決済方法です。後払いに近いサービスですね。
市場は、2026年度に約2兆円の水準まで拡大すると予測されています。
(引用元:EC決済サービス市場に関する調査を実施(2023年))
BNPLによる決済は、以下のような流れで進みます。
利用者が商品を購入→支払い方法として「BNPL」を選択
BNPL事業者が、小売店に対して立て替えを行う
小売店が、BNPL事業者に対して決済手数料を支払う
利用者がBNPL事業者に対して、分割または一括で後日支払う
注目すべきは、手数料を小売店が負担しているという点です。
利用者にとっては、分割手数料や分割手数料がかからないため、金融的なメリットがあります。
こういった特徴から、海外ではクレジットカードの利用が減り、BNPL決済のニーズが急増。
一方で、セキュリティ面での懸念や利用者の過剰債務といった問題も顕在化しつつあります。
BNPLと後払い決済の違い
BNPLと後払い決済の違いは、以下の2点です。
分割払いが可能(分割手数料無料)
手数料は小売店が負担
まず、BNPLであれば、購入した商品ごとに分割で後払いが可能です。
一般的な後払いサービスは、利用した翌月に一括で請求されることがほとんどです。
さらに、決済にかかる手数料や分割手数料が発生しません。
そのため、クレジットカードを持っていたとしても、あえてBNPLを利用して手数料を節約するユーザーが増えてきているのです。
BNPLには与信審査がある?
BNPLは、厳格な与信審査を必要としません。
「氏名」や「メールアドレス」といった、簡易的な情報のみで利用を開始することができます。
そのため、最初は利用限度額が低く設定されており、いきなり高額な買い物はできないという特徴があります。
利用者の利用状況・返済履歴を考慮しながら、利用可能額が調整される仕組みとなっています。
例えば、滞納を繰り返す利用者の利用限度額は下がっていきます。
利用実績を積んでいくことで、高額な買い物にも利用できるようになります。
BNPLのメリット
BNPLには、利用者・事業者それぞれに複数のメリットがあります。
利用者にとってのメリット
【与信の信用が低くても利用できる】
利用前の与信審査が簡易的であるため、学生やフリーランスといった信用が得にくい状態でも、利用しやすいです。
【決済手数料・分割手数料を節約できる】
BNPLは、基本的に分割手数料が無料であるため、高額な買い物の際は節約につながります。
【詐欺や粗悪品の被害を未然に防ぐことができる】
後払いであるため、詐欺や粗悪品による被害を受けません。確実に商品を受け取ってから、支払いへ進むことができます。
事業者にとってのメリット
【客単価の向上が期待できる】
クレジットカードを持っていない層へのアプローチができるため、顧客の幅が広がります。
さらに、高額な支払い金額であっても利用者は気軽に分割で決済できるため、顧客層の拡大とあわせて顧客単価の向上が期待できます。
BNPLの問題点・法規制の動向(デメリット)
BNPLは、メリットばかりではなく、以下のようなデメリットもあります。
不正利用のリスクが高い
利用者が過剰債務を抱える可能性がある
定期購入や高額商品の場合、解約のリスクが高まる
不正利用のリスクが高い
BNPLは、利用者にとっても、事業者にとっても不正利用のリスクを抱えています。
なぜなら、BNPLは与信審査が簡易的なことに加えて、利用の際に厳格な本人確認を行わないからです。
例えばクレジットカードの場合、勤務先などの情報をもとに厳格な審査を行うので、なりすましで審査を通過することは困難です。
また、利用の際にセキュリティコードや暗証番号の入力を求められるため、安全性が高いです。
一方でBNPLは、身元の追跡が難しいフリーメールアドレスでアカウントを作成することができます。
加えて、フィッシングやダークウェブへアカウントとパスワードが流出してしまった場合、暗証番号やセキュリティコードといった他の認証を通さないため、簡単に不正利用されてしまいます。
不正利用が行われると、利用者は不当な請求を求められ、事業者は支払い額の回収が困難になり、会社の財務状況が悪化します。
利用者が過剰債務を抱える可能性がある
BNPLは手軽に利用できるが故に、利用者が過剰に利用してしまう可能性があります。
その結果、利用者は延滞金を支払うことで更に家計が圧迫され、事業者は代金の回収が遅れてしまいます。
つまり、利用者は「消費や金融に対する高いリテラシー」が求められることになります。
また、事業者は、BNPLの導入にあたって、このようなリスクを考慮しなければなりません。
さらに、日本および海外において、BNPLに関する規制や法律は整備されていません。
利用者と事業者を守るための法整備が、各国で求められています。
定期購入やサブスクリプションの解約リスクが高まる
購入のしやすさと相反して、定期購入やサブスクなどの利用では、解約のリスクが高まります。
以前の記事で、クレジットカードによる支払いは定期やサブスクの場合、定着率が高い傾向にあるとお伝えしていましたが、BNPLや後払いの場合は定着率の観点から、20ポイント以上の開きがあります。
【関連記事】定期通販やライフラインなど毎月払うサービスはクレジットカード決済で定着率UP!お客様に選んでもらうには?
定期購入やサブスクの場合は、事業者側としては購入後は支払いの変更の促しや手続きを簡単にできるように誘導や告知をする必要があるでしょう。
また利用者側も、支払いの手間や手数料の点からも、クレジットカードや引き落としなどにすることでメリットは高くなります。
Smashでは、リテンション施策のひとつとして、このような支払い方法変更の施策も提供しており事業者様の定着率アップに貢献しております。
日本の主なBNPLサービス
日本に存在するBNPLをいくつか紹介します。
Paidy(ペイディ)
NP(ネットプロダクションズ)後払い
GMO後払い
メルペイスマート払い
日本では、海外と比較してクレジットカードを取得しやすい背景もあり、まだまだ浸透はしていません。
しかし、冒頭でも述べたように、国内のBNPL需要は高まりを見せているため、今後の展開に注目です。
まとめ
BNPLは、国内外で需要が高まりつつある後払いサービスです。特に海外では、クレジットカードからBNPLへのシフトが進んでいます。
一方で、セキュリティ面の課題や過剰債務の懸念といった問題も無視できません。
各国の法整備や各サービスの規約によって、これらの問題を解決することが必要です。
また、事業者がBNPLを導入する際には、その後のLTVや定着率も気になるところでしょう。
その際は、Smashがお役に立てますので、是非ご相談ください。