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解約は顧客との最後のタッチポイントにはならない。第二のLTVを掘り起こす施策とは?

まずは、本題をお伝えする前に獲得部分のお話です。

サブスクリプションビジネス(以下、サブスク)やEコマースの定期販売などは広告やアフィリエイトに多くの予算を割いて新規の顧客を獲得しています。そのため、新規顧客は獲得して終わりではなく、その後も継続してもらえるかどうかを考えなくてはなりません。そして、今後根強い既存顧客となる可能性を秘めているのが、何らかの理由でそのサービスや定期購入を辞めてしまった「解約者」の存在です。

 今回はサブスクや定期通販において重要ともいえる「新規顧客の獲得」と「既存顧客の維持」に加えて、「解約者の掘り起こし」という手法にフォーカスしています。

 解約者の掘り起こし自体は低コストで実現できます。また、解約した顧客のどの層にアプローチをかければ、事業者にとって第二のLTVを創出できるか説明しています。

Ⅰ、「1:5の法則」と「5:25の法則」

「1:5の法則」とは、新規顧客への販売コストは既存顧客への販売コストの5倍かかるという法則です。一般的な新規顧客の獲得にはテレアポ、DM戦略、飛び込み営業、イベント販売、反響営業など、まずは会社自体を知ってもらうところから網羅的な戦略を考える必要があります。当然これには多額の費用と労力がかかることが想像できます。

新規顧客の獲得にこだわりすぎると、戦略を打った割には新規顧客の囲い込みに結びつかず、いつの間にか利益率が下がってしまうこともあります。 たしかに継続的に売上を伸ばすためには、新規顧客の獲得も必要な要素ですが、トータルで見ると会社の利益に直結していないということもあるかもしれません。

「5:25 の法則」とは、顧客離れが5%改善されると、利益が少なくとも25%増加するという法則です。先述したように、新規顧客の獲得には多大なコストが必要になるため、この場合は既存顧客の維持に注力する方が遥かに効果的です。 

売上拡大というと顧客数の増加が優先度が高くなりがちですが、購入数量、単価、購入頻度などの顧客ロイヤルティ率の向上も重要な指標になります。

Ⅱ、解約した顧客の再利用の期待値は高いのか?

 解約者(解約した顧客)は、過去にそのサービスを利用したり商品を買ったことがあり、そのサービスに対してある程度の認識を持っているので、新たに事業者側から商品やサービスの説明を新たにかける必要がなくなります。
 そのため、解約した顧客の掘り起こしは低コストで実現でき、事業発展につながりやすいことから、新規顧客を獲得するよりもLTVの創出が期待できます。

しかし、解約した顧客へのアプローチによりLTVの創出が期待できるといっても、むやみやたらにアプローチすればよいというわけではありません。ここでは解約した顧客へ行った施策とその結果をご共有させていただきます。

Ⅲ、解約者に関するデータ考察

 下記の表は、あるサブスクを退会するユーザーに退会処理の際にチャットボットで

 「またいつか、このサービスを利用したいですか?」

と、質問をした際の回答状況です。(対象は8,000人)

表1: 「またいつか、このサービスを利用したいですか?」回答結果

その後、このユーザーに対して再入会の促しを行い、4ヶ月後に再入会した結果です。

表2: 回答結果別再入会者数

表1では再入会の意思のある人の割合がわかります。この割合は、企業やサービスによって異なり、再入会希望者が6割近くいる企業もいらっしゃいます。表2では、その後時間をおいて、再入会したユーザーの人数をまとめたものになります。割合は、それぞれの分母が表1の人数、2,800、2,000、3,200になります。対比でいうと「する」:「しない」:「不明」≒188:7:64=27:1:9という結果になります。これを再入会期待値で表すと「する」:「しない」:「不明」≒20:1:5となりました。

つまり解約した顧客のうち「再入会する」と答えた層は、「再入会しない」と答えた層の20倍、「不明」と答えた層の4倍も既存顧客に復帰する期待値があることが分かりました。

 確かに、あなたがサブスクへの再入会をしないとの意思が固まっているとして、営業の電話がかかってきたりやDMが送られてきたら興味を示すでしょうか?興味を示さない人がほとんどでしょう。また、場合によってはクレームを誘発し、顧客の掘り起こしどころではなくなる可能性もあります。実際、この施策では「再入会しない」という顧客にアプローチをかけクレームのようになったケースもあったため、その後「再入会しない」という顧客にはアプローチをしないようにしています。

よって、解約した顧客の中で掘り起こすべきは、再入会しないと答えた層でもなく、不明と答えた層でもなく、再入会を検討している層に送るのがベストでしょう。
 この文章を読んで、「なんだそんなことか。」と感じることと思いますが、実際重要なポイントになってくるのは、この質問は解約手続きのタイミングで聞くということになります。そのタイミングを逃すとなかなか取得できない情報でもあるということです。
 後日、DMや電話をする場合は、なんらかのパーミッションを合わせてとっておくことも忘れないようにしましょう。

画像:挿絵は本文の内容に合わせて、DALL-Eを使って自動生成しております。

まとめ

サブスクや定期通販において根強い既存顧客となる可能性を秘めているのが、何らかの理由でを辞めてしまった「解約者」の存在です。

 新規顧客の獲得には多大なコストを覚悟する必要があるため、既存顧客の維持に注力する方が効果的です。 売上拡大というと顧客数の増加が真っ先に思い浮かびがちですが、購入数量、単価、購入頻度などの顧客ロイヤルティ率の向上も重要な指標になります。

弊社調べにおいて、とあるサブスクを退会した後に、実際に再入会したかどうかを人数構成比で表すと「する」:「しない」:「不明」≒20:1:5となりました。

 つまり解約した顧客の中で掘り起こすべきは、再入会しないと答えた層でもなく、不明と答えた層でもなく、再入会を検討している層なのです。その顧客理解を深め、タイミングよくアプローチすることで、企業の利益貢献に大きく寄与することになるでしょう。

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