解約希望は何曜日に多いのか?解約発生率と曜日の関係性について
当社が開発・提供しているリテンションボット「Smash」では、サブスクリプションサービス(以下、サブスク )や定期通販の既存顧客やユーザーに対して一人ひとりに合わせたコミュニケーションを図り、解約抑止を行っています。また、「Smash」で得られたVOC(Voice Of Customer | 顧客の声)を含む様々なデータは分析を行い、解約抑止率の向上だけでなく、サービスそのもの改善に役立てています。
そして、様々な分野のサブスクサービスに関するデータを分析したところ、解約発生率と曜日の関係性について大変興味深い研究結果が得られました。
「解約する」という行動は曜日に関係しているのか、そうであればリテンションマーケティングにどう活かしていくのかについて、データを元に分かりやすく解説いたします。
比較したサブスクリプションサービス
今回、エンタメのデジタルコンテンツのサブスクリプション系(以下:デジコン)、学習コンテンツのサブスクリプション系(以下学習系)、携帯やプロバイダなどのインフラ系(以下:インフラ)、定期通販という4つの業種のサブスクリプションサービスを分析しました。
このように、幅広い分野のデータを分析・比較することによって、業種による解約発生率と曜日の関係性が分かってきました。
分野に関わらず解約は日曜日に多い
当社の分析によると、解約希望手続きは日曜日に多いという傾向があると分かりました。平均値を100%に設定し、日曜日に注目してみます。すると、デジコン122.6%、通販110.8%、学習系130.4%という結果でした。
インフラ系に関しては、最も多い曜日が他と違っており、水曜日の114.7%でした。しかし、日曜日も101.8%と平均値よりは高い数値となっています。
次は、分野ごとの曜日で比較してみます。すると、学習系では日曜日130.4%に対して金曜日が74.9%と、最も高い曜日と最も低い曜日の差がかなりあることが分かりました。また、デジコンでも日曜日が122.6%、金曜日89.5%とその差は30%以上という結果でした。
解約が一番少ない曜日は?
先ほども少し触れましたが、金曜日がデジコン、通販、学習系の3つの分野において最も低い結果になりました。デジコン89.5%、通販91.5%、学習系74.9%と平均よりかなり低い数値です。この結果により、解約が最も少ない曜日は金曜日であると考えられます。
インフラ系に関しては他の分野とは今回も違っており、火曜日が84.8%で最も低い数値でした。金曜日の数値は96.9%と最も低い曜日ではないですが、平均値よりは低い結果となりました。
今回得られたデータのみで考えると、日曜日が休日の既存顧客やユーザーが多く、一週間の中でもっとも時間的・精神的余裕がある日であることが解約発生に繋がっているのではと予想できます。
対して、金曜日は一週間にある平日の中で最後の曜日。今はまだ想像の範囲ですが、仕事が忙しかったり、仕事の後に外食や家での晩酌を楽しんだりする方が多い曜日になります。そのため、解約手続きをする時間がない、もしくは解約するという考えになりにくいのでは?と考えられます。
曜日に左右されない解約抑止率
当社での分析・研究により、解約手続きは幅広い分野において日曜日に多く、金曜日に少ない傾向であると分かりました。
対して、解約抑止率はどうなのでしょうか?
実は、解約抑止率は曜日によって左右されず、数値に変化はありません。「解約したい」という意思を固めて手続きに進んだユーザーや顧客への抑止は、どの曜日においても同じくらい難しい課題だと言えます。
リテンションマーケティングの可能性
では、どうすれば解約抑止率の向上に繋がるのでしょうか?ここで、リテンションマーケティングの可能性について考えます。
解約発生率が曜日によって違うのは、既存顧客やユーザーの生活スケジュールに左右されているのでは?という仮説から、これからは曜日ごとのより具体的なデータ収集と分析を行うことが大切だといえます。
いわゆる、ペルソナマーケティングの強化です。より具体的なデータを分析できれば、日曜日はこういうタイプの人が解約しやすいという顧客モデルが設定できます。曜日ごとに解約希望者のペルソナが分かるようになれば、その曜日や個人に合わせた質の高いコミュニケーションが取れるようになっていくでしょう。そうすれば、おのずと解約抑止率向上にもつながっていきます。
また、曜日ごとやサービスごとの顧客モデルが予想できれば、それぞれに合わせたプロモーションもできるようになります。解約抑止率アップだけでなく、顧客やユーザーのLTVの向上やロイヤリティ強化にも期待できるでしょう。
最後に
今回は、データ分析により判明した解約発生率と曜日の関係性についてご紹介しました。曜日によって発生率に変化があることは分かりましたが、より詳しい内容に関してはさらなる研究が必要であり、当社でも進めていく予定です。
また、ご紹介した結果は当社の研究で得られたデータ分析の一部であり、リテンションボット「Smash」により様々な視点に活かせるデータが続々と集まっています。
解約抑止率向上に向けて今後もさらなる研究を進めていき、解約にまつわる役立つ情報を発信していきたいと思います。新しい結果や情報がある際には皆さまにご共有いたしますので、ぜひご期待ください。