アフターコロナに起こるサブスクリプションサービスの変化とは?
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の悲劇が世界中を駆け巡り、経済に大きな影響を与えました。世界中の政治や経済の大きな話はもっと賢い人に任せるとして、サブスクリプション(以下、サブスク)や通販の各業界の動向や解約のポイントでのアフターコロナがどう変化していくのか、現状のレポートを交えながら予測させていただきます。
コロナがもたらしたサブスクへの影響
このコロナにより、StayHOMEという命題の元、自宅で時間を過ごすことが急激に増加し自宅で利用する、デリバリーや通販、VOD(ビデオ・オン・デマンド)や音楽配信のサービス、学生や子供にはオンライン授業などのコンテンツ・サービスの需要が高まりました。実際、当社の解約抑止・分析を行う「Smash」を導入いただいているVOD事業の方々も軒並み入会者数が増加し、それに合わせるように解約希望者もかなり増加しています。
ただ、このコロナの期間は無料期間だけ利用をし、速やかに解約処理をする方の割合が高いのが顕著にあらわれています。また解約ページに設置してあるチャットボットの平均会話数も30%ほど落ちています。これは明らかに当初から無料期間で解約を決め、入会をしているためです。また、VOD業者のサポートセンターには、「メアドを変えれば、無料期間は何度でも利用できるのか?」と露骨な質問をしてくる入会希望者もいるとのことでした。ここの部分だけ切り取ると、ただ単に賑やかしで終わってしまいますが、よくよく考えてみると、今までVODサービスを知っていたが使っていなかった人、よく知らない人が調べてそのサービスの便利さや楽しさを初めて気づいた人が多数いるということです。
会員数が伸びた時こそ解約分析を
実際、サービスを利用して、好きなコンテンツがない、金額が高い、他社のサービスのほうが魅力的など様々な解約理由も明確に分かる瞬間であります。入会者が多い時ほど、きちんと解約対策や分析ができている企業はこのタイミングを会員純増の大きなチャンスとしています。
ただ、前述したように一時的な利用者も多い最中では、解約の穴が埋めきれいない企業やサービスはただ単にシステムコストばかり増加し、このチャンスを活かすことができないでしょう。
アフターコロナで変化するサービスや企業の在り方
また、このコロナ禍での出来事は、企業の強み弱みを浮き彫りにし、責任者たちに大きな転換を促すことになりました。前述のネットを使ったリモートサービスは、特需を受けていますが店舗誘導型のビジネスは大きな痛手を被っています。飲食店がテイクアウトや通販を積極的に導入したように、来店店舗型のビジネスも、オンラインに置き換えれたり付加できるものは採用し、ハイブリッド型のビジネスへ変化が必要になるでしょう。ビジネスの根幹が店舗でのサービスであっても受付や支払い、予約、商品の受け取り、解約など様々なユーザーとのタッチポイントをオンラインへのシフトもしくは追加はハードルは高くなく、多くの企業で積極的な導入が行なわれるでしょう。
コールセンター
当社にも3月くらいから問い合わせが来ていますが、通販などコンシューマー向けサービスの多くは今回コールセンターに関しての課題も検討材料として上がってきています。コロナの件でコールセンターの閉鎖や時間短縮を余儀なくされる企業も多く、コストバランスやコールセンター閉鎖の場合の対応方法なども今後の検討課題として、大きく残っていくことでしょう。企業によっては自社の良質なコールセンターを所有しているところも多く、このサービスレベルを維持しながら様々な課題をクリアにするのは企業の担当者は頭を抱えることでしょう。
シェアリングサービス
他にもコロナの影響でカーシェアリングが、不特定多数の人と車を共有するのでコロナ感染の恐怖から、利用を控える傾向があると聞きました。これは、カーシェアリングだけではなく、ライドシェアなど他人と共有することに嫌悪感が生まれ、当分の間、消費者の頭からこの考えは消えないでしょう。サブスクと足並みを揃えて成長してきたシェアリングエコノミーも、ここに来て、大きな課題を払拭しないといけなくなってきました。シェアリングも、不特定多数から特定少数などのシェアリングが導入されるかもしれません。
今回のコロナで国民が長期の外出自粛という経験を強いられ、その中で半ば強制的にいろいろなサービスやビジネスを体験しリテラシーが上がったことでしょう。この自粛期間で本当によかったものは今後自粛期間が終わっても継続利用され、この期間でユーザーが固定しなかったサービスは速やかにサービスや商品の何がいけなかったを、解約者から真摯に受け止め改善することで、逸早くコロナという出来事を事業改善のステップにすることができるでしょう。