解約抑止に関わるコミュニケーションの重要な要素とは?
当社が手掛けているリテンションボット「Smash」では、サブスクリプションサービスや定期通販を利用するお客さまに対し、解約というタッチポイントでコミュニケーションを図り、解約抑止を行っています。
さらに解約希望者とのコミュニケーションにおけるデータの採取もでき、データ分析することで解約抑止率向上に向けた研究もしています。
数ある研究結果から今回は、ユーザーの回答時間とその後の解約率に注目し、デジタルコミュニケーションと解約抑止率の関係性について解説していきましょう。
オペレーターが教えてくれる解約抑止のヒント
コールセンターにおける顧客との会話がデジタルコミュニケーション上でも質を高める手がかりになると考え、コールセンター業を手掛ける企業と共同研究を行いました。
コールセンターでは、オペレーターと顧客との電話でのやり取りが購入や解約抑止への直接の要因となります。そのため、オペレーターと顧客間の会話速度やオペレーターの声質、対応方法などから購入や解約抑止につながる要因を探し出せば、リテンションボットへの応用だけでなく、オペレーターの標準化やスキルの向上にも役立つと考えています。
そこで、当社とコールセンター企業は様々なオペレーターの音声データを採取し、分析・研究を行い、解約抑止につながる様々な要因を調査しました。
※音声データは個人情報を除いた状態で取り扱っています。
音声解析で明らかになった解約抑止率をあげる要因
共同研究の中で、優秀と呼ばれるオペレーターほど、顧客によって発話速度が異なることに気付きました。そこで、オペレーターと顧客それぞれの会話速度に注目して検証を繰り返しました。
すると、オペレーターと顧客の会話速度が近いほど、CV率または解約抑止率が高いという研究結果が得られました。
つまり、顧客の話す速度にオペレーターの話す速度を合わせれば合わせるほど、購入や解約抑止の成功率が高くなったということです。
オペレーターのテクニックをデジタル上で再現
共同研究で得られた結果を今度はデジタルコミュニケーションの分野に置き換えていきましょう。
オペレーターからの説明や話す内容を聞いて理解する速度をユーザーがチャットを読む速度に、顧客から話す速度を入力速度にというように当てはめることができます。そして、リテンションボット「Smash」にチャットを読む速度や入力速度の検知と最適な会話のやり取りの実現する機能を搭載しました。各ユーザーのチャットを読む速度と入力する速度を細かくトラッキングし、そのユーザーに合わせた心地よい速度でチャットでの会話を表示するという機能です。
この機能によりチャットボットとの会話のやり取りにおける感覚的なズレがなくなり、結果、今までと比較して約1.7倍ものVOC(Voice Of Customer:顧客の声)が取得できました。
VOCは、個人情報保護規制の強化が進む中でも取得可能なゼロパーティデータ(顧客が意図的に企業と共有するデータ)です。しっかりと分析することで、サービスや商品改善に寄与し、ロイヤルティ強化につながります。そして、その結果として解約抑止率の向上も期待できると考えています。
ユーザーの回答時間と解約率の関係性
様々な仮説の設定やそれに関する検証を続けている中で、ユーザーの回答時間と解約率は関係していることが分かってきました。
分析結果によると、解約希望ユーザーが解約を進めていく場面で回答する時間が遅ければ遅いほど解約率も低い傾向にあることが分かりました。
この結果から「回答に時間がかかっているユーザーは解約を迷っている、もしくは解約するサービスや商品についてよく考えている」という仮説が立てられます。
しかし、この仮説を立証するにはさらなる研究や分析が必要となっており、現段階では断言はできません。
研究が進行していけば、解約を迷っているユーザーをリアルタイムで抽出できるようになり、迷っている場面で新たな訴求が可能になります。そして、ユーザーに合わせた解約抑止に関する提案ができ、解約抑止率のさらなる向上が見込めます。
当社はチャットでの回答時間や速度にも注目し、引き続き研究を進めていく予定です。
コミュニケーションと解約抑止
「解約」というタッチポイントにおいて、顧客とのコミュニケーションはとても重要になってきます。
コミュニケーションの方法1つで、「解約したい」から「続けたい」と態度変容を促すことも可能です。また、本当に解約を望んでいる顧客に対しては、解約しやすい導線を用意してあげることも重要です。解約したいのに解約できないというストレスは、サービスや企業そのもののイメージにまで悪影響を及ぼしてしまいます。このように「相手の気持ちを考える」こともコミュニケーションを構成する大切な一要素です。
最後に
今回は、コールセンター企業との共同研究を活かしたリテンションボット「Smash」の一部機能とユーザーの回答時間と解約率の関係性についてご紹介いたしました。
ご紹介した研究結果は膨大なデータ分析の一部であり、解約抑止だけでなく様々なビジネスに役立つ情報を研究しています。有益な研究結果が得られましたら、noteや当社HPなどでご紹介いたしますので、ぜひ今後の研究にもご期待ください。そして、リテンションボットボット「Smash」では、解約ページにおけるユーザーの微細な動きをトラッキングし、リアルタイムでフィードバックできます。
最新のデジタルコミュニケーションによる解約抑止やロイヤルティ強化対策をぜひ、お試しください。