ポストクッキー時代のキーワード「ゼロパーティデータ」が紐解く解約理由
昨今、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)に見られるように、個人データに関する同意の必要性が重要度を増してきています。さらに、iOSのトラッキング禁止など、さらなる規制が今後のデジタルマーケティングの課題事項となっています。そこでポストクッキー時代に注目を浴びる「ゼロパーティデータ」とサブスクリプションサービスや定期通販における「解約」の関係性をお伝えしていきます。
ゼロパーティデータとは
ゼロパーティデータとは、米国の調査会社であるフォレスターリサーチが提唱したデータ分類になり、ある個人が企業に対して意図的に共有するデータを指します。
以前からある、DMP(データマネージメントプラットフォーム)では、ファーストパーティデータ、セカンド、サードというように段階的に、ユーザーのデータを持っていました。
ファーストは、会員登録の際に登録するような、個人情報。サードは個人を特定せずにCookieなどをベースに構築された、個人が特定しづらい情報でしたが、昨年からゼロパーティのキーワードがマーケットでも少しずつ露出されるようになり、現在はこれからのデジタルマーケティングに必要だと言われるようになってきました。
要因はいくつかありますが、1つはCookie情報の取り扱いが個人情報の規制により不安点なものになってきたという点。加えて、Cookieから取得できる情報では現在の進化したデジタルマーケティングのCRMやターゲティングに限界が来ています。
ファーストパーティで取れる性別や誕生日、住所、電話番号だけでは、その人の趣味や嗜好、細かいステータスまで把握することは難しく、それならということで、直接ユーザーに様々な方法で聞くことがゼロパーティデータが注目を浴びています。時にはアンケート、時にはチャットボット、コールセンターの電話など様々方法で、顧客の真意を尋ねます。
解約時に取得できるゼロパーティデータの価値
当社のリテンションボット(チャットボット )では、サブスクリプションサービスや定期通販などの解約というタッチポイントでこのゼロパーティデータを取得しています。このタイミングは実に千載一遇のチャンスで、解約理由など様々なデータを取得することができます。そして、取得したデータを分析することにより、サービスの課題点などが浮かび上がってきます。
データの活用
当社では、解約時のゼロパーティデータは取得後にしっかりと分析を行っています。例えば、リテンションボットでユーザーが送ったメッセージから、実はユーザーのサービスに対する認識不足や勘違いが原因で解約を検討していることが分かったりします。
その際、ユーザーの不満や悩みに対して、リテンションボットの返答によってサービスに対しての勘違いを改善できる可能性がある場合、それをサジェストして解約を抑止するという流れを作っています。
大手企業も注目するゼロパーティデータの価値
最近は、YouTubeでも、動画の視聴前に簡単なアンケートを挿入し、広告の視聴経験や、記憶の有無など、ゼロパーティデータの取得を試みています。Googleといえば、Google Analyticsなどの解析ソフトでユーザーの行動分析や接触回数などのトラッキングを行えるのも関わらず、それよりも「直接答える」この方式の採用を大々的に進めています。このアンケートでは、1つの質問に対して5円から10円の経費が発生しています。
当社のチャットボットの導入企業の中には、1ヶ月に3万人が平均5回答してくれており、これは5円換算でも75万円の価値になります。また、YouTubeなどと違って、解約する時は動画を見たい時に質問するのと違い、解約したい時に解約したい理由をきくので、データとして非常に価値が高いのです。
アスクルのECマーケティングディレクターの成松氏も、「お客さんの困りごとの瞬間を捉えるデータほど価値が高い」と、消費者課題が、現在のトレンドデータであり再重宝されることを断言しています。
進むCookie規制
通常のCookieデータだけでできるマーケティング手法は正直やり尽くした感があり、限界が見えている今、高いUXを提供するには、このゼロパーティデータが重要になってくるのは必然です。御社も今からでもユーザーとのタッチポイントにゼロパーティデータを取得できる仕組みを構築することで、ライバル企業との差を生み出す大きな要因となるでしょう。
2020年4月に出版した「解約新書」の中でも、逸早く、このゼロパーティデータの分析結果やデータの活用方法を記載していますので、興味がある方は、手に取っていただけたら嬉しい限りです。