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チャットボットの回答率をあげるためには?業種別に実例で解説

いまやチャットボットはWeb接客の必需品ですが、使い方次第でユーザーに解約を思いとどまらせる効果もあることはご存じでしょうか。

今回はSmashが持つ様々なチャットボット運用経験のなかから、解約ページ上のチャットボットを有効活用し、ユーザーからの回答率をあげることが解約抑止にも効果を発揮した事例をご紹介していきます。

チャットボットをどう運用していけば良いかわからない方や、解約数の増加にお悩みの企業の担当者の方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
● リテンションの効果があった施策例|業界・業種別の解説
● 解約抑止に効果的なチャットボットの選択肢・シナリオ



回答率とは

Smashでのチャットボットの回答率とは、チャットボットが設置されたWebページを訪問したユーザーのうち、チャットボットを使用したユーザーの割合をさしています。

チャットボット回答率の算出式

※「チャットボットの使用」とは、チャットボットを開封し、表示された選択肢を選ぶなどのリアクションを1回以上した場合と定義

チャットボットの効果を検証する際、この回答率が指標の1つとなります。
対象ページのチャットボット使用者のグループと未利用者のグループで、CVRを比較することで、チャットボットがコンバージョンに及ぼした効果をより本質的に把握できるのです。

なお、チャットボットの性能を評価する場合にも「回答率」という語句を使用することがあります。この場合の回答率は「ユーザーからの質問にチャットボットが答えられた割合」という意味で、本記事で言う「回答率」とは異なりますのでご注意ください。

回答率と解約抑止率の関係

Smashでは、回答率をあげることが、解約防止につながると考えています。
解約ページなどでチャットボットへの回答率をあげることは、つまり解約抑止に効果的な情報をユーザーに見てもらえることになります。
結果として、解約を思いとどまってもらうことができるのです。

Smashはこれまで、数多くのチャットボットを運用・分析してきました。
現在では、チャットボットへの回答数と解約抑止率にはある程度相関があり、ある一定の回答数までは、回答数が多いほど解約の抑止率も増加傾向にあることが判明しています。

青い部分のように回答数と抑止率に相関がみられます

回答数も考慮したシナリオを設計することで、いっそうの抑止効果を期待できます。

【業界別】回答率をあげるための施策事例

ここからは、解約抑止に効果があった、回答率を増やすための施策を業界ごとに解説していきます。解約ページでチャットボットに表示する選択肢の具体例を見ていきましょう。

小売業(定期通販)

現在、単品通販を含め様々な商品が定期通販を行っております。
定期通販の解約でSmashをご活用いただいている場合、

効果があるものとして
● サンプルの送付
● 購入をスキップする
● お得な特別価格の情報

効果が少ないもの
● 解約時の商品説明
● 画像のないシナリオ

1.サンプルの送付

チャットボットの選択肢に追加するものとして、「サンプルの送付」は効果が高く、おすすめです。新商品や契約中の製品より機能性に優れたものがあれば、興味をもってもらえます。

残念なことに、ユーザーには商品開発側の想いはなかなか伝わりづらいものです。とくに解約のために来訪したユーザーのほとんどは、商品の特徴に興味をもたないので、解約対象の商品について再度説明したとしても、購入を継続する割合は少ないのが現状です。
定期購入品の切り替えを狙うことで、顧客として残ってもらえるように考えましょう。

ただ、ここで注意すべきは同じ人やサンプルの過重送付をしない仕組みを作ることが大事です。以前のサンプル送付履歴の連携や、送付希望者をリアルタイムにボット側が理解をして適切な会話かどうか判断する必要があります。

2.購入をスキップする

スキップ機能を追加することで解約の抑止率が高まるということも判明しています。
また、スキップできる期間を「翌月だけ」など企業側が指定するのではなく、ユーザーが自由に期間を選べる方がさらに効果が高いです。ただし、あまり細かい自由入力などは返って解約を促すことにもなるので、30日刻みで簡単にスキップ設定できる工夫も必要です。

3.お得な特別価格の情報

解約する理由として「料金が高い」と回答する層は、ほかの解約理由を選択した層に比べて、お得なモノで解約を抑止できることがデータ上でもわかっています。
まずはマイページなど、ユーザーの目に入りやすい場所にお得な情報を出しておきましょう。それらを見逃すユーザーもいるので、チャットボットでお得な情報に誘導します。

たとえば、チャットボットのシナリオを設計において、解約理由の設問に価格の高さを設定し、その後にお得な情報を表示するような流れもよいでしょう。その際に、顧客がどのような値段を今まで目にしてきたかも一貫性があるとより効果が高いことも分かっています。

VOD(動画配信サービス)

VODサービスでは一般的にクーポンや無料トライアルを利用して登録した場合に、解約時点で契約期間が残っていたとしても、見放題対象の動画視聴といった会員特典が即時に利用できなくなります

動画配信サービスのように、ユーザーが毎日でも利用するサービスで、「解約した日にサービスが使えなくなる」というのはユーザーがデメリットに感じやすいです。
解約を躊躇する可能性がある情報は、解約ページの冒頭で注意喚起することで、解約の抑止率増加につながります。

さらにユーザーが注意文をよく読んでいない可能性も考慮し、チャットボットで重ねてお伝えすることは、抑止率をあげるためにも効果的です。
なお、注意喚起を画像で見やすくする方法も思いつくかもしれませんが、弊社での分析結果では、画像の見やすさによる抑止率への影響はごくわずかでした。

チャットボットはウィジェット(チャット画面)が立ち上がる動きがあったり、ユーザー自身が操作したりすることで、目に留まりやすいというメリットがあります。
伝えたい情報を確実にユーザーに届けるためにも、チャットボットを有効活用しましょう。

ライフサービス(インフラや保険、ロードサービスなど)

会員に退会を思いとどまらせるには、お得な情報を伝えることが重要と感じるかもしれませんが、実は違います。

退会を検討している会員は、そのサービスに付帯している特典をあまり利用していないケースも多いです。この場合、特典情報よりも、そのサービスの主体になる内容において「損するかもしれない」情報のほうが抑止効果がある可能性が高いことがわかってきました。

ユーザーが解約申請をする過程にチャットボットを置くことで、解約理由を確認することができます。理由に「あまり使わないから」を選んだユーザーには、次のステップで損をするかもしれない情報を表示してみましょう。
解約ページのチャットボットは、リテンションを考慮したシナリオにすることも大切です。

生命保険業

1.チャットウィンドウのデザイン

チャットボットの回答率をあげるためには、ヘッダーの色や文言、表示割合も重要です。
しかし、「何色なら必ず効果がある」といった普遍的な攻略法はなく、オレンジや緑、アクセントカラーなど、パターンを変えて自社に最適な組み合わせを探っていくしかありません。
Smashではチャットウィンドウのデザインのご提案も可能ですので、お困りの方はお問い合わせください。

2.開封秒数とノード数

さらに具体的な手法としては、チャットボットが表示されるまでの時間(開封秒数)を2秒から1秒に短縮したり、1つ目のラジオボタン前の対話ノード(設問)数を2つから1つへ減したりしたところ、抑止効果があがったのです。
顧客の状況を網羅するような最適な選択肢を設定することも大切ですが、顧客が接客を受ける時間を速くすることにも着目してみてください。

シナリオ設定イメージ

3.生命保険業に特有の有効策

ほかにも、生命保険業界において解約抑止に効果があったのは、「価格がお得な理由を丁寧に説明する」ことでした。
他の業種では「短文でわかりやすい」ほうが抑止率が高い傾向にあった一方で、保険は高額な商品ですから、詳細で納得できるような説明のほうが顧客にも好まれるのでしょう。

4.他の業種と共通のケースも

生命保険業でも他業種と同様に、解約以外のスキップや減額といった選択肢があることは、リテンションに有効でした。
業界にとらわれず、他業種であっても、自社の商品・サービスにも適用できそうな施策があれば、ぜひ取り入れてみてください。


まとめ

解約抑止にも効果を発揮した、チャットボットに表示する選択肢の実例をまとめます。

  • スキップ・減額を選べる

  • サンプルの送付

  • お得な情報の案内(解約理由に「高い」を選択した顧客の場合)

  • 損をする情報の案内(「あまり使わない」を選択した顧客の場合)

選択肢以外にも、チャットウィンドウのデザインや文言、ボットに動きを入れることなど、回答率をあげるための改善策はいくつもあります。
Smashではチャットボットを活用したリテンションについての知見を豊富に有しているので、お気軽にお問い合わせください。