注意!解約時のダークパターンが企業ロイヤリティ低下につながる理由
サブスクリプションサービス(以下:サブスク)の利用時に「登録は簡単なのに解約が難しい」「解約のボタンが見つからない!」と困ってしまった体験はないでしょうか?
解約手続きを複雑化し、ユーザーや顧客が解約をしないよう、もしくは解約を諦めるようにユーザを欺きながら誘導する手法を「ダークパターン」といいます。
ダークパターンの手法や、悪質の度合いはさまざま。
ユーザーが意図しない決定に誘導されてしまうことも多く、その結果、ユーザーと企業間でトラブルが発生、多くのクレームが寄せられるという事態も珍しくありません。海外では社会問題にもなっており、ダークパターンに関する規制強化も進んでいます。
今回はダークパターンについて事例などを交えながら詳しく解説し、別の角度からの解約抑止対策についても提言いたします。
当たり前になっているサイトデザインも、実はダークパターンだった!ということもありえます。ダークパターンへの理解を深め、自社サービスの解約抑止対策を見直すきっかけにしていただければ幸いです。
1.ダークパターンとは?
ダークパターンという言葉は、2010年にユーザーエクスペリエンスの専門家であるハリー・ブリヌル(Harry Brignul)が創った言葉です。
ユーザーにとって不利益な決定を強要する、もしくは欺いて意図しない決定をさせることでオンラインサービスに利益をもたらすサイトデザインやユーザーインターフェースを指します。
普段、あまり聞き馴染みのないダークパターンという言葉。しかし、日本でも多くの手法が確認されています。
定義は細かく確立されてはいないですが、ユーザーの意図しない判断の実行の他に、サイトによってユーザーに不利益や誤解を与えるようなデザインもダークパターンに該当すると捉えてよいでしょう。
2.ダークパターンの事例
ダークパターンにはさまざまな手法があります。今回は、よくある手法の中から具体的な事例を3つご紹介します。
2-1. 解約ページまでの画面遷移数が多すぎる
解約を回避するために、あえて解約までの工程を複雑にする手法です。サイトのトップページから解約手続きにたどり着くまでに、ユーザーに何画面も経由させたり、長い規約を表示させたりします。
世界的に有名な大手動画サービスでも、このタイプのダークパターンが使われていました。退会手続きを行おうとすると、トップページから数十ページも遷移が必要という長い手順を迫られるという手法です。しかも、手続き途中には退会のデメリットを提示するなど、ユーザーを必要以上に惑わせていました。
2-2. 解約ボタンが分かりづらい
解約ボタンを背景と同じカラーにするなど、目立たないようにして解約を阻止する手法です。その一方で、解約のキャンセルボタンを目立つカラーやデザインにし、企業側に利益になるような判断をユーザーに迫ります。
メルマガでよくある配信停止へのリンクを他のリンクよりも小さくしたり、分かりづらくするケースと似ているでしょう。
2-3. 解約手続きが電話のみにも関わらず電話が繋がらない
1回だけ、1ヶ月だけのつもりで契約したのに、いざ解約する際には電話のみの対応で全く繋がらないというケースもあります。これは健康食品や化粧品などのジャンルで多く確認されているダークパターンです。
事業者に電話が繋がらなければ解約ができず、顧客には解約ができるまでに発生してしまった料金を払うなどの不利益が生じます。
このようなトラブルは「企業に騙された」、「被害にあった」という感覚が顧客側に生じやすく、全国の消費生活センターでは同じような相談内容が年々増加しています。
3.世界で進むダークパターンへの規制
日本ではあまり馴染みのないダークパターンという言葉。しかし、ここ数年では世界的に規制が進んでいます。
背景としてインターネットの普及やIT技術の進歩が関係しています。インターネットが高速に普及したことで、世界的に見ても個人情報の不正収集や漏洩などの事件や問題が多く発生しました。
その対策として個人情報の保護が世界規模で重要視されるようになり、個人情報の取り扱いに関する規制の強化としてダークパターンへの規制も進んでいるのです。
アメリカを例にすると、2020年に施行されたカリフォルニア州消費者プライバシー法ではダークパターンの手法によって得られた承諾は同意とみなされないとはっきり記されています。
さらに、2021年3月には解約手続きを複雑化したり、わざと阻止するようなダークパターンも規制対象となると改定されました。
4.過度な引き止めは企業ロイヤリティの低下につながる
ユーザーにとって意図しない同意を促したり、わざと解約させづらくするダークパターン。
利用するユーザー視点から考えると、解約したい時にダークパターンに遭遇したら強いフラストレーションを感じるでしょう。
各種サイトは企業の顔とも言われています。登録はすぐできたのに、ホームページで解約ができない、もしくは異常に手間がかかるとユーザー側に不信感を与え、企業イメージやロイヤリティの低下につながってしまいます。
企業側がよくみるデザインだからといって解約手続きに安易にダークパターンを使用すると、いつの間にか「解約できない悪質サービス」などと悪い口コミばかりになってしまう可能性もあります。
5.登録・解約がしやすければユーザーは戻ってくる
当社はサブスクや定期通販の解約抑止につながるリテンションボット「Smash」を提供し、得られたデータから分析・研究を行っています。
そして、研究を進めている中でジャンルを問わず、サブスク・定期通販に共通して言えるのは、「解約したユーザーはサービスに愛着があったり、また必要と感じたりすれば、再契約という形で戻ってくる」ということです。
解約したいと手続きに踏み出したユーザーを無理に引き止めたり、欺くように解約阻止をするのはおすすめできません。なぜなら、解約させてくれない企業としてイメージダウンにつながるからです。 せっかく企業に愛着を持ってくれていたユーザーも気持ちが一気に離れてしまいます。
契約や登録だけでなく解約も簡単にできれば、ユーザーも安心してサービスを利用でき、企業への信頼感もアップするでしょう。
そして、解約希望ユーザーに「解約が簡単だった」という成功体験を提供できれば、必要になった時や金銭的に余裕が出てきた時に「もう一度利用しようかな」と検討してくれる可能性が高くなります。
6.リテンションボット「Smash」によるユーザを欺かない解約抑止対策
解約時のダークパターンが企業ロイヤリティの低下につながるのは理解したけど、利益を考えると解約抑止対策をしないのは難しいですよね。
効率的でユーザー側へのフラストレーションを与えない解約抑止としてチャットボットの利用がおすすめです。当社のリテンションボット「Smash」は高機能を備えており、解約抑止に大いに役立ちます。
解約希望時にはリアルタイムで分析し、ユーザーの温度感を数値化。空気を読み、より人間に近い会話による解約抑止を実現していますました。一方で、ただやみくもに解約抑止を行うだけでなく、解約意思が強いと判断されたユーザーに対しては無理に引き止めを行わず、解約を促しています。再度サービスを利用してもらえるかは、解約時のコミュニケーションが一端を担っているのです。
企業とユーザーとの最後のタッチポイントである「解約」。だからこそ、
しっかりとユーザーと向き合い、ユーザー一人ひとりに合わせたコミュニケーションが求められます。
ユーザーとのコニュニケーションから得られたデータの分析・研究も当社で行っており、企業の課題を見つけ出したり、サービスの改善や企業のロイヤリティの強化をサポートしています。
7.まとめ
今回は解約時のダークパターンについて詳しくご紹介しました。
解約抑止対策について、今一度見直すきっかけになったでしょうか?
ダークパターンはユーザーにとって不利益な手法です。ダークパターンが頻繁に利用されればされるほど、ユーザーは安心してサブスクを利用できなくなるでしょう。
解約をさせないことよりも解約希望ユーザーの意見に耳を傾け、サービスの改善点を追求し、ブラッシュアップしていくことがおすすめです。
そして、効率的な解約抑止とデータ分析を行うなら、当社のリテンションボット「Smash」が最適。チャットボットによる解約抑止にご興味がある方は、ぜひご検討ください。