解説!サブスクの消費行動モデルに解約を加えるべき理由
マーケティングを活用する上で消費者が商品・サービスを認知し、購入に至るまでの行動プロセスを理解するのは極めて重要です。このように消費者の行動を分析し、パターン化したものをマーケティング用語で消費行動モデルと言います。
消費行動モデルの分析・研究は、サブスクリプションサービス(以下:サブスク)や定期通販ビジネスにおいても大変重要です。さらに当社では、消費行動モデルに解約も入れるべきだと提唱しています。
そこで今回の記事では、消費行動モデルの紹介と解約を加えるべき理由について詳しく解説します。
マーケターやサブスク、定期通販を提供する企業にとって有益な情報となります。今後に向けたマーケティング施策の参考にしていただければ幸いです。
1. 消費行動モデルとは?
消費行動モデルとは消費者が商品・サービスを認知して購入に至るまでの行動プロセスを分析し、モデル化したものです。
今よりも前の時代は、消費者に自社の商品・サービスを知ってもらう手段として新聞や雑誌などの広告、TVCMなど多くの人々に認知させる手段が主流でした。対して現在では、スマートフォンの普及でSNSを通じた情報収集が一般化しています。
時代による消費者行動の変化はさまざまな企業や団体によって分析され、消費行動モデルとして提唱されてきました。そのため、消費行動モデルには複数のパターンが存在しています。
その中から今回は、サブスク・定期通販に関わる代表的な2つの消費行動モデルをご紹介します。
1-1. AISAS(アイサス)
AISASはインターネットの普及により消費者の行動が能動的になった社会に合わせて提唱された、消費行動モデルです。2004年に株式会社電通が開発・提唱し、商品登録がされています。
以下の用語の頭文字を取ってAISASと表現します。
● Attention(認知・注意)
● Interest(興味・関心)
● Search(検索)
● Action(購買)
● Share(共有)
商品・サービスを認知した消費者が認知から購買までの間に興味・関心を持って検索をし、購買後には共有する行動の流れを示しています。
1-2. RsEsPs(レップス)
RsEsPsは、2019年6月に一般社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会が提唱しました。SNSの普及により多くの消費者が情報を発信し、それにより他の消費者の購買につながる現代の消費者行動を分析しています。
RsEsPsはAISASとは違い、以下の4つのフェーズで構成されています。
● Recognition(認識フェーズ)
● Experience(体験フェーズ)
● Purchase(購買フェーズ)
● Search・Spread・Share(検索・共有・拡散)
消費者が商品・サービスを認識し、体験して購入に至るという3つのフェーズが基本となり、それぞれのフェーズに検索・共有・拡散される可能性があると提唱しています。
つまり、認識→検索・共有・拡散→体験→検索・共有・拡散→購買→検索・共有・拡散という行動の流れを示しています。今後マーケティングを考えていく際には、消費者行動のさまざま場面で検索・共有・拡散が行われる可能性を含めた施策をプランニングしなければなりません。
2. 消費行動モデルには解約を加えるべき
当社はサブスクを中心に、サービスの解約ページ上で解約抑止を行うチャットボットを開発・提供しています。そして、解約希望者の声やデータを分析・研究することで各企業の課題解決をサポートしています。
解約抑止を専門的に分析・研究する当社は、消費行動モデルの最後に解約(Cancelellation)を加える必要性を提案しています。
3. 解約を加えるべき理由
なぜ消費行動モデルに解約を加える必要があるのか、その理由は主に3つあります。それぞれ分かりやすく解説します。
3-1. 新規獲得だけでは生き残れない日本
かつては良いモノを作れば売れやすい時代でした。その流れは続いており、現在でも多くの企業がいかに売り込むか、契約を取るかという新規獲得のマーケティングに力を入れています。
しかし、現在の日本では人口減少が進んでおり、業界関係なく新規顧客の獲得が難しくなりました。消費行動の入り口だけを重視したマーケティングには高い効果が期待できません。
現在は新規だけでなく、既存顧客に対するマーケティングも行っていくのが主流になりつつあります。継続的な利益向上を目指すためには、すでに利用している各ユーザーの顧客ロイヤリティを高め、いかに長く自社の商品・サービスを利用してもらえるかが重要です。
特にサブスクや定期通販では、ユーザーの消費行動に解約が含まれています。消費行動モデルに解約を加えて分析すれば、商品やサービスの改善や企業課題解決によりつながるかもしれません。
3-2. サブスクリプションサービスの普及
現代の消費者は、商品の所有よりも利用を重視するようになりました。
特に音楽や映像コンテンツの分野ではその変化が目立ち、CDやDVDを購入する消費者が減少。全米レコード協会によると、2019年上期にはすでにアメリカでは音楽業界の売上80%がインターネットによるストリーミング配信サービスが占めていました。洋服や家具などの商品も買って使わなかったら捨てるのではなく、必要なときだけ借りられるサービスの利用者が増加しています。
このように多くの消費者が自分の持ち物にはならなくても、利用できて楽しめればそれで満足するようになり、若い世代では買ってモノを持つよりも体験そのものを大切するのがトレンドになっています。
今後ますますサブスク・定期通販の市場は広がっていくでしょう。それにより、解約という消費行動の出口に関するマーケティングの必要性が高まるのは明らかです。
3-3. これからはOne to Oneマーケティングの時代
消費者行動モデルは変わってきていますが、現在でも新規獲得に力を入れたマーケティングが主流です。その代表であるTVCMは総計何億人規模の一般消費者に見せることで成り立っており、実際に多くの大企業が利用しています。
しかし、今の家庭ではリビングにテレビがあっても子どもたちは自分のスマートフォンやタブレットを見ています。現代では消費者が目にする画面の種類が増え、マス広告が届きにくくなりました。
このように時代は1対Nから、1対1へと変わってきています。個人に目を向けたスモールビジネスを想定した新しいマーケティング施策が必要になるでしょう。
インターネットの広告に関しては、見せる対象となる消費者を属性などのセグメント別に分ける技術が進んでいます。しかし、インターネット上の広告であってもまだまだマス広告が中心です。
たとえば、1件のコンバージョンあたり10円の広告費であっても200万人をターゲットにした場合、費用は2000万円かかります。そして、1000人程度しか集客できなかったケースも珍しくありません。
それよりも5000人のマーケットを対象にして、そこから4000人の集客ができる小さな単位の広告の方が効率的と言えます。加えて人口減少が進んでいるため、マス広告ばかりでなく1対1を意識したOne to Oneマーケティングにシフトするのも一つの手段でしょう。
4. 解約に注目したマーケティングでLTVを高めよう
解約は顧客との最後のタッチポイントです。現代では消費行動の各フェーズにて検索・共有・拡散される可能性があるため、ダークパターンと言われる、ユーザーを欺くような解約抑止策はおすすめできません。リテンションボットなどを活用した効率的かつ、ユーザーに寄り添った解約抑止をすると、新規ユーザー獲得よりもはるかに効率よくLTVを向上させられます。
そして当社では解約抑止だけにとどまらず、解約ページで何が起きているかを分析・研究を行い、企業に貢献しています。
解約希望者は実際に自社の商品・サービスを利用し、使ってみた結果解約したいと判断したユーザーです。つまり、その企業や商品・サービスの欠点をよく知っているユーザーであり、解約理由を詳しく分析すれば今まで気づかなかった企業課題が見えてくるのです。
しかし、解約希望者から得られるデータの高いポテンシャルを認識していない企業が多くみられます。効率的なLTV向上を目指しているのならば、ぜひ解約希望者の声を分析しビジネスにフィードバックしていきましょう。
5. 最後に
今回は、消費行動モデルの解説と消費行動モデルに解約を加えるべき理由について解説しました。
サブスク・定期通販で効率的かつ効果的に利益を生み続けるには、消費行動モデルに解約を加えて考えることが重要です。解約に注目したマーケティング施策に着手して、既存ユーザーの顧客ロイヤルティやLTVを高めていきましょう。
当社ではリテンションボットSmashを中心に解約抑止・分析を行っています。解約に注目したマーケティングに興味がある方は、ぜひ当社の利用も検討してみてください。