チャットボットで無人コールセンター!?導入事例や手順・注意点を解説
昨今の物価高や電気料金の高騰、人件費の上昇は、どの業界にも影響が大きいです。
無料で利用できると思われてきたコールセンターも例外ではなく、たとえば大手携帯電話会社では契約変更などの手続きをコールセンター経由でおこなう場合、事務手数料を一律3,850円に値上げしています。フリーダイヤルから有料のナビダイヤルへの番号変更も増加しており、利用者にとっても大きな負担になりはじめています。
コールセンターの課題が企業にも利用者にも影響するなか、解決策としてチャットボットを活用する企業が増えています。
この記事では、コールセンターの効率化やカスタマーサポートの無人化など、チャットボットでできることを事例をまじえて解説します。
コールセンター向けチャットボットとは?
チャットボットとは
チャットボット(chatbot)とは、人と機械(bot)が対話するための自動応答プログラムのことです。
あらかじめ設定した選択肢にそって対話する「シナリオ型」と、人が入力した質問文に対し最適な回答を返せる「AI型」があります。
今回はAI型に比べて安価で導入しやすく、運営を軌道にのせやすいシナリオ型チャットボットについて解説します。
活用シーン
コールセンターでチャットボットがどのように活用されているのか見ていきましょう。
① 登録情報の変更や解約などの申請受付
各種の手続き、新規申し込みや解約において、オペレーターが毎回確認する情報を電話の前に収集しておくこともできます。
手続きの種類や解約理由などが先に判明していれば、オペレーターの対応時間の短縮や、解約を引き止めるトーク展開もできるでしょう。
② よくある質問への一次対応
あらかじめ「よくある質問」をチャットボットの選択肢として用意しておき、利用者があてはまる質問を選ぶと、自動で回答が表示されるので利用者は自己解決できます。
解決できない場合にオペレーターにつなぐことで、問い合わせ件数の抑制が可能です。
③夜間など受付時間外の対応
チャットボットは24時間365日稼働できるので、オペレーターが不在の時間帯でも顧客対応が可能です。
コールセンター業務における課題
コールセンターの運営ではコスト、なかでも人件費が大きな課題となります。
オペレーターの時給は一般に1,000円〜3,000円程度。これが営業時間数と稼働人数分かかり、さらには教育コストも加わります。
一方、チャットボットは1つで複数人分の応対をできるうえ、オペレーターごとの応対品質のバラツキを心配することもありません。
新商品などで応対内容を変更する場合も、システムのアップデートですぐに一律の対応に更新できます。
このように、チャットボットであれば人件費や教育コストを大幅に削減できます。
コールセンターをチャットボットで完全に代替するなら、コールセンター構築で必要な工事費用や光熱費等の維持費用、CTIなどシステムの運用・保守費用、人員の採用費などの削減もかないます。
コールセンター向けチャットボットの導入メリット
・オペレーターの業務負荷軽減
よくある質問をチャットボットで解決できれば、オペレーターは何度も同じ説明を繰り返さずにすみます。
問い合わせ件数の量を減らし、オペレーターによる接客が真に必要な、重要な対応に注力できることで、オペレーターのストレス低減やモチベーションの維持に効果的です。
・顧客満足度の向上
チャットボットがあれば、顧客は営業時間を待たずに24時間365日、気軽に問い合わせることができます。
あふれ呼が起きているときのように、長時間待つことも、再コールを通知されて強制終話されることもありません。
ストレスなく疑問を解消できることで、満足度向上をはかれます。
・VOCの把握
VOCとは「Voice of Customer(顧客の声)」の略で、顧客からのフィードバックやクレーム、提案などをさします。
VOCを収集・分析することで、企業はカスタマーサポートの改善だけでなく、商品の企画開発やマーケティング戦略などへの活用が可能です。
オペレーターでは正確な対応履歴を残すことが難しい場面もありますが、チャットボットであれば多くのデータを速やかに蓄積できます。
オペレーターによる対応に適した問い合わせ
チャットボットでは誰に対しても画一的な対応になるため、応対品質が安定するというメリットがある一方、複雑な質問や個別性の高い質問に臨機応変に対応することはチャットボットの性能によっては難しいです。
顧客がデジタルに苦手だったり、人的な対応を望んでいる場合、例外処理をする場合は、オペレーターのほうが最適な場合もあります。
コールセンターの設置目的や利用者ニーズを確認し、チャットボットかオペレーターかを判断しましょう。
チャットボットの選び方
コールセンターに導入するチャットボットは、どこに着目して選べばよいのでしょうか。
ポイント1:導入・運用に過剰な負担がかからないか
チャットボットの導入には、最も重要なFAQの整備だけでなく、導入目的の明確化、導線・デザイン検討などさまざまな作業が必要です。
運用開始後も、FAQの追加・修正やUI改善といったメンテンナンスをデータ分析をもとにして定期的におこなう必要があります。
チャットボットに詳しい人材が社内にいない場合や別業務と兼任して担当する場合には、負担が大きくなりがちです。
チャットボットの管理画面がだれでもわかりやすいUIか、メンテナンスしやすいかなどをトライアルやデモを利用して試してみましょう。
ポイント2:シナリオ改善のサポートがあるか
チャットボットが業務効率化に効果を発揮するにはシナリオ設定が重要になります。
顧客との対話記録をもとにシナリオ化をおこないますが、選択肢の数や表示する文字数には最適解が存在します。
簡単なサポートだけで自社で分析をするには難易度が高いので、ベンダーの手厚いサポートがあるか、シナリオ設定を丸投げできるようなサポート体制があるのがベストです。
▶チャットボット運用が楽になる専門チームがある「Smash」
当社が提供するチャットボット「Smash」では万全のサポート体制をしいており、専門のチームがチャットボット導入、シナリオ設計、チャットボット導入後のデータ分析をすべて対応いたします。
クライアント様はSmashに丸投げでチャットボットを運用いただけます。
ポイント3:周辺業務をどれくらい効率化できそうか
問い合わせに関連する業務システムとチャットボットが連携できるかもチェックすべきです。
たとえばECサイトにおいてチャットボットとCRM(顧客管理システム)を連携できれば、「商品がいつ届くか」「返品はできるか」などの質問にもCRMから情報を得て回答できます。
支払い方法の変更や、定期購入のスキップ設定といった手続きを、シナリオと紐づけることも可能です。
チャットボットだけでさまざまな問い合わせを解決できることで、顧客の利便性がいっそう高まります。
Smashを活用してチャットボット運用をスムーズに
「Smash」は定期通販やサブクリプションサービス、生命保険やライフラインなど月額の費用が発生するようなサービスの顧客対応に最適なチャットボットです。
チャットボット導入、シナリオ設計、チャットボット導入後のデータ分析をSmashがすべて対応することで、迅速な導入と負担の少ない運用を実現します。
とくに設置後のサポートが強みで、日次レポートでチャットボット利用者の傾向を把握し、データの分析とシナリオ改善を実行。ABテストなど実証実験をおこない、実装します。
また、顧客の契約状況や利用期間、解約理由などを把握して、非常に細かい提案やコミュニケーションを行うことが可能です。時には、利用者の回答時間や言い直し(押し直し)なども理解して、利用者を気遣いながら会話が進んでいくようになっています。
さらには既存顧客の維持にも効果があります。
解約目的でサイトを訪れたユーザーに対して、チャットボットの接客で契約を持続してもらうような様々なシナリオ設計や知見があるのも大きな魅力です。
コールセンターの業務効率化にくわえ、チャーンレート改善にお役立ていただけます。
カスタマーサポートへの導入事例
VOCの分析・活用でサービス改善に|株式会社LEAN BODY様
気軽に加入できる反面、離脱率が高い傾向も見られるフィットネス業界。
LEAN BODY様では、ユーザーの満足度や求めるサポートを知りたいと、リテンションボット「Smash」を導入いただきました。
解約時のデータ分析と顧客とのコミュニケーション改善に成功し、解約抑止率が約2.5倍に向上。
また、ユーザーの解約理由やニーズに対応する新たなアプローチを取ることで、サービスそのものの向上を目指されています。
コールセンターリプレイスに必要なもの
顧客との対話の記録
解約・スキップ等の手続き
コールセンターにSmashを導入するにあたって大事なものはこの2つだけです。
「顧客との対話の記録」はチャットボットと顧客がスムーズに対話するためのシナリオ設計の指針となります。基本的にどのチャットボットでも必要です。
「解約・スキップ等の手続き」は、チャットボットにこれらの手続きを代替させることで、オペレーターの業務負荷軽減に役立ちます。
このとき、「解約を引き留めた対話の記録」があると、Smashの強みであるリテンション施策をチャットボットに組み込むことができます。
解約を希望する顧客の対応はオペレーターにとってもプレッシャーがかかるものです。
チャットボットに代替することで、何人ものオペレーターの負担軽減につながるでしょう。
チャットボット導入手順
チャットボットの導入手順は、一般的に以下のステップでおこなわれます。
1.導入目的を決める
チャットボットを「何のために」導入するか、解決したい課題を明確にします。
これに応じて、必要な機能や設置すべき場所が整理されるでしょう。
2. 予算や人員を検討する
チャットボットは一般に初期費用と月額費用がかかります。
月額費用は機能の数だけでなくサポートの手厚さによって変動するため、チャットボット運用を担当する人材のスキルによってサポートの程度を決めましょう。
将来的に担当者が交代しても使いやすいものがベストです。
3. チャットボットの比較検討
条件をもとにチャットボットを絞り込みます。
デモや無料トライアルが用意されている場合は実際に試してみるのがおすすめです。
4. 社内運用体制を構築
チャットボット導入後の社内運用体制を整えます。
5. シナリオ設計・Q&A設定
自社でもっているカスタマーサポートの記録やFAQをもとに、チャットボットの応答を設定します。
AI型の場合にはデータ学習が必要です。
6. テスト運用
本番と同様の環境でテスト運用を開始し、調整を重ねます。
当社から大規模に導入するのではなく、問い合わせ件数が少ない場所や手続きなど部分的に導入するのもよいでしょう。
7. 本格導入
テスト運用で問題がなくなったら本番に移行します。
【運用で大事なこと】意識すべきポイントとは?
チャットボットは導入したら終わりではありません。
顧客からのチャットボット利用率を高めるためには、メンテナンスが重要です。
1. 設置後のデータ分析と改善
設置後すぐはなるべく頻繁にメンテナンスをしましょう。
運用状況で多少の差異はありますが、およそ300件分のログデータを収集したところで分析をおこないます。
回答できなかった質問
的外れな回答
満足度が低かった回答
よく質問された内容の拡充
などチャットボットを調整していきます。
AI型では教師データを追加して学習させますが、シナリオ型では管理者による質問・回答の登録が必要です。
2. 利用者の傾向把握
チャットボットの改善には利用者の傾向をデータから読み取ることも重要です。
離脱が多いポイント
開封されやすい/されにくい設置場所
起動に最適な秒数
利用者の属性
上記以外にも利用率改善にはさまざまなチェックポイントがあるので、難しいと感じる場合はベンダーのサポートが手厚いものを選びましょう。
3. シナリオ改善のための実証実験(ABテストなど)
シナリオの改善案がまとまったら、ABテストなどを実施し、効果を確認できたものを追加していきます。
この1〜3のステップを定期的にくり返すことで、チャットボットの効果を高めることができます。
まとめ
チャットボットをコールセンターに導入することで得られる効果は大きいです。
しかし、チャットボットは適切に構築し、メンテナンスを続けなければ、効果を発揮できません。
人手不足で専任の担当者をつけられないなら、ベンダーのサポートをフル活用するのがおすすめです。
少人数でも顧客満足度の高いカスタマーサポートを構築できるよう、自社にあったチャットボットを導入しましょう。
画像出典元:写真AC、O-DAN