見出し画像

解約の深夜受付を停止するとどうなる?実験的な施策の結果を紹介

いまや多くのサービスでチャットボットが導入され、24時間いつでも顧客対応ができる環境になり、顧客の利便性が向上してきました。一方で、昼夜を問わず解約手続きもできるということは、解約される機会が増えているとも言えます。

とくに、コールセンターで解約の手続きを受けていた企業では、チャットボットへの変更後に営業時間外の解約が増えると、社会の良識に反するとはいえ、「深夜帯に解約受付を止めればよいのでは?」との考えも出てくるでしょう。

Smashでは実験的な取組みとして、企業様の許可をとり、期間限定で深夜にボットの受付を止める施策をおこないました。(現在は24時間稼働中)
結果は、深夜に解約ページを訪問したユーザーの45%にあたる113名がその後も契約を継続。受付停止によるクレーム発生はゼロとなりました。
今回は、この実験の結果を分析・解説していきます。

この記事でわかること
この記事では、禁じ手である夜間の解約受付を実際におこなうとどうなるのか、実験的な施策とその結果を弊社Smashが分析していきます。
Smashではチャットボットで解約を可能にすると同時に、解約に訪れたユーザーを引き止めるリテンション施策も提供。
解約におけるユーザー心理を含めて、ユーザーが契約を継続した理由クレームが発生しなかった理由なども解説しています。


夜間対応の可否により、解約そのものの変化はあるのか?

施策をおこなった当時は、弊社のチャットボットによって解約やスキップ、商品変更や数量の変更などあらゆる処理を自動化していました。
チャットボットの導入以前は、解約をコールセンターで受け付けしており、コールセンターの営業時間外である夜間には解約できない状態でした。

チャットボットの導入によって夜間の解約申請が可能になり、その件数が増えていたなか、解約についての相反する2つの仮説がありました。

  • 「深夜、対応を止めれば解約が純粋に減るのではないか?」

  • 「深夜に対応しなくても昼間に再訪問して解約するから、結局のところ、数値変化はそれほど見込めないのではないか?」

当時、止めることはコンプライアンスやブランディングの観点からハードルは高かったのですが、コールセンターと近い稼働時間に戻すだけという背景もあり、期限を切って短期間で施策を走らせてみました。

なお施策前の状況としては、深夜1時〜6時の解約希望者はひと月に250名ほどでした。これは解約申請数の5%程度にあたります。

チャットボットによる解約停止の案内(イメージ)

解約受付を停止した結果は?

【施策の内容】
 施策:深夜1時〜6時の解約受付を停止
 対象:深夜1時〜6時の解約ページ訪問者・250名
 結果:113名(対象者の45%)が購入を継続

施策導入後、深夜に解約ページを訪問したユーザーのうち、再度、日中に解約申請した数は137件でした。

つまり、113名が契約を解除せず購入を継続しています。

ユーザーが契約を続けた理由は、単に昼間に解約手続きをする時間がなく「解約できなかった」ケースと、もともとそれほど強い解約意志がなく「解約しなかった」ケースの2つの可能性が考えられます。

お客様は簡単なきっかけで解約を検討しますが、一方で解約したいという確固たる意志がない方も一定数いらっしゃいます。

たとえば、解約を検討していたものの、サービスを継続するメリットはまだ感じており、解約の手間というデメリットを上回った場合には購入を続けるでしょう。
解約手続きをおこなう前に、未使用の機能や商品など、サービスの良い面を発見して契約を続けることもあるので、解約ページでのWeb接客の重要性が見えてきます。

この結果において注意すべき点

ただし、深夜の稼働停止が解約抑止につながったと単純に見るのではなく、「解約できなかった」ユーザーが不満を抱えながらも契約を続けている可能性があることには留意してください。

クレーム発生なし

この施策をおこなっていた期間中、深夜帯稼働停止によるクレーム発生はありませんでした。(2023年9月6日時点)

この理由としてまず考えられるのは、もともと解約受付がコールセンター稼働時間内に限られていたことから、ユーザーは夜間の受付が停止していても、それほど疑問には感じなかった可能性です。

くわえて、チャットボットで解約ページをわかりやすく案内したうえで、受付停止の対象時間帯だという説明までがごく短時間で完結することも、クレームを防ぐことができた一因でしょう。

リテンションマーケティングにおいて、解約ページをわかりにくくする手法をダークパターンと呼びます。今回の事例は、ダークパターンに頼らない手法で、かつクレームにもつながらなかったリテンションの施策例となりました。

ただし注意していただきたいのは、深夜に解約受付を停止すること自体がダークパターンと受け取られかねないという懸念もある点です。UXを考えると、24時間対応することが企業側の努めであることに変わりはありません。

まとめ

実際に、夜間に解約申請の受け付けを止めるとどうなるのか、多くの担当者は気になっていたことでしょう。
解約できなかったユーザー全員が日中に再訪して手続きをおこなうわけではない、という興味深い結果となりましたが、ユーザー目線を考えると決して推奨されることではありません

企業からみれば、ユーザーの解約の気持ちは衝動的に起こるもので、その一瞬が冷めるとまた継続利用してくれるのでは、と期待してしまいます。

ですが大事なのは、現在は様々な働き方があり、夜しか解約手続きができないユーザーがいること。
「解約したいのにできない」消極的な継続では、最終的には顧客満足度の低いサービスとなり企業にとっても悪影響になるでしょう。

Smashでは、深夜に解約受付を止める施策には頼らないリテンションチャットボットを提供しています。

解約目的で訪れたユーザーに、解約を思いとどまってもらえるようなシナリオ設計のサポートも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
シナリオ設計の詳しい手順は以下の記事で紹介しています。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!